キャンパスのような所で、知人の作家が東京ドームでの展覧会に作品を出品するのだという話をしていた。
そこに現れた、普段は温厚な感じの用務員さんが厳しい口調で彼を呼び止め、「うんこを持ち出すな!」と叱責した。
彼が前に抱えているオーカー色の布製バッグは大きく膨らんでいる。
用務員さんは彼が自分の大量のうんこ持ち出し、何か悪いことに使おうとしているのを気づいて呼び止めたのだろうか…?周りには何人かの人が立ち止まって成り行きを見ている。
用務員さんは彼に近づき、バッグを奪い取って中のものを取り出し地面に叩きつけた。
最初に取り出されたものは、彼が出品していると思われる展覧会の小さめのカタログの束、
次に取り出されたものは分厚い茶封筒で、地面に叩きつけられたため、中に入っていた展覧会の招待券が飛び出していた。招待券には印刷したかのような白い整った字で一枚一枚「××様」と相手の名前が書かれていた。
結局、袋に入ったうんこのようなものは出てこなかった。それでもまだ用務員さんは彼を睨んでいる。
僕は無言で佇む知人が不憫でならなかった。