夜、宮沢りえになった自分が、高いビルに沿って伸びている足場のてっぺんに居る。赤いコートを着ているりえは、そこから飛び降りようとしているのだ。見下ろすと、地上にはデパートのようなビルの入口から光が漏れている。飛び降りたら、その玄関の前に落ちるはずだ。玄関の前に横たわる、血の飛び散った小さな自分の体を頭の中で描いている。りえはそれがとても美しい死に方のように思っているのだ。
いつの間にか「女優…女優…」という言葉が何度も頭の中で繰り返されている。
死の恐怖は全くなかったけれど、飛び降りることをやめようと思う。
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