2010年5月24日月曜日
木の上の男
僕がいつも通る架空の道。
真っすぐに延びた道があり、道沿いの片側には小さい店が並んでいる。
その向かいには杉か、松の様な真っすぐな木がほぼ等間隔に立っている。
その近くまで来たときに近所の人たちのうわさ話が聞こえてきた。
ー見た?ー
ー気持ち悪かったー
ーあれは見ない方がいいよー
道沿いの真っすぐな木の上に引っかかっている男の死体についての話だった。
気持ち悪い、というのはその表情なのか、損傷がひどいのだろうか、、。
そこで話されている話題はいかにその死体が気持ち悪いかという事に終始していた。
その道はいやでも通らなければならない道だ。木の上にやはり男は居た。
枝の上に折り曲がるように引っかかっていて、ズボンから出た裸足の足が目に飛び込んだ。通り過ぎる前に上を見上げれば顔も見られたはずだが、見ないことに決めて通り過ぎた。
その男は道沿いの一番端にある店の店員か客だったのだと誰かが話す声がした。
その後何度かその道を通ったが、相変わらず男は当然のようにそこに居た。
当たり前の風景になりかけた頃、ようやく男は木の下に降ろされ横たわる事が出来た。
たった一人の検死官がしゃがみ込んで調べていた。
その道沿いの店が並んでいるもう一方の端にはギャラリーがある事を知った。
妻とマリコと三人でそこに行ってみた。男の話はしなかった。
開口部から入る外光が眩しく思えるほど暗いそのスペースに作品と思われるものは無く、僕には只の廃墟のように見えた。
2010年5月23日日曜日
母と歩く
こんな夢を見た。
森の中の道。僕は母と手をつないで歩いている。
右側にいる母の手や腕は生前よりふっくらしていて弾力がある。
その感触はとてもしっかりと自分の手に伝わってきて過分なほど現実味を帯びていた。何か話していたはずだが、その声や内容は記憶に残っていない。
いい気持ちで歩いていたのだが、そのうちにこんなに感触を感じられながら母と歩いている事が不思議に思えてきてしまった。僕はこの状況に何かほころびがあるような気がしてきたのだ。立ち止まって母の背中から腰のあたりに耳を近づけてみるとかすかにシューッと空気が漏れるような音がしていた。
「空気が漏れている」
でもどこから漏れているのかすぐにはわからない。
そっと服をたくし上げて腰のすぐ上の辺りを見ると、丸い肌色の絆創膏が張ってある事に気づいた。それをはがすと小さな傷口のようなものが見えたので、僕はそこに口をつけて空気を送り込んだ。
2010年5月22日土曜日
モッコウバラ
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